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日本調教馬の遠征成績

年	成績	馬名	性齢/斤量	騎手	管理調教師
1967	11着/17頭	ハマテツソ	牡5/61.0kg	中神 輝一郎	松山 吉三郎 (東京)

1967年、当時の皇太子夫妻のブラジル訪問が決定した際、
これを記念して秋の大レース・サンパウロ大賞に
有力馬を1頭招待したいとの旨が、日本中央競馬会理事長宛てに伝えられました。

前年の年度代表馬コレヒデや、スピードシンボリなど、
日本中央競馬会側が推薦馬としてリストアップした15頭の中から最終的に出走を決断したのは、
10番目に名前が挙がった重賞2勝馬・ハマテツソの陣営でした。

実に約3日も掛けての長距離輸送を経て、
4月末にブラジルへ到着したハマテツソは現地在住の日系の人々からの歓迎を受け、
5月14日の本番・サンパウロ大賞に出走したのです。

しかし、典型的な「追い込み馬」として知られたハマテツソは、
いつもの様に後方から進出して先団に喰らい付いていったものの、
長距離輸送と環境の変化による疲れもあったのか
最後は伸びを欠いて全17頭中の11着という結果に終わり、帰国の途につくこととなりました。

その後、約5ヶ月の休養を経て復帰したハマテツソは、
復帰初戦のオープン競走を勝つなど1968年まで現役を続けましたが、
その鞍上に主戦騎手であった中神輝一郎（なかがみ こういちろう）の姿はありませんでした。

当時23歳であったその若手騎手は、遠き異国の地で忽然と行方を眩ませてしまったのです。

のちに寺山修司氏がエッセーで取り上げるなど、
この「失踪」は競馬ファンなどの間で様々な憶測を呼びましたが、
実際にはサンパウロ大賞での騎乗後、中神騎手はブラジルの永住許可を得て
シダーヂ・ジャルヂンなどで騎手を続けていたことが確認されています。

その後、現役を引退して1995年に帰国した中神氏は
牧場で騎乗指導をするなどして、2011年現在は故郷の鹿児島で生活しているとのこと。

いずれにせよ、日本調教馬として南米へ遠征したのは現在のところこのハマテツソのみ。

前述の事情もあってか、これまであまり公に語られることはありませんでしたが、
日本競馬界の海外遠征史を扱う上では欠かすことのできない1頭と言えるでしょう。

参考資料

・『世界への飛翔』 角川書店　(ISBNコード 4048530356)

・サンケイスポーツ （2011年8月1日付）「伝説の騎手」中神氏、JRA競馬場に初来場